1時間当たりの金額
残業代の計算には1時間当たりの金額が必要
残業代を計算するには、通常の賃金の1時間当たりの金額と残業の区分により異なる割増率、そして、残業した労働時間が必要です。
残業代の計算式は、次のようになります。
(通常の賃金の1時間当たりの金額)×(1+割増率)×(残業した労働時間)
通常の賃金の1時間当たりの金額は、基本給や○○手当てといった構成要素、時間給制や月給制といった賃金支払形態により、計算方法が異なります。
時間給制の場合
例えば、時給1,000円の基本給で、他の手当等がない人は、
1,000(円)÷1(時間)=1,000(円/時間)で、1,000円です。
日給制の場合
例えば、日給8,000円で他の手当等がなく、1日の所定労働時間が5時間の人は、
8,000(円)÷5(時間)=1,600(円/時間)で、1,600円です。
月給制の場合
例えば、月給320,000円の基本給で他の手当等がなく、1日の所定労働時間が8時間、年間の所定休日が125日の人は、
320,000(円)÷[8(時間)×{(365(日)-125(日))÷12(月)}]=2,000(円/時間)で、2,000円です。
月給制の場合、月ごとの所定休日が異なるときがあるので、月単位で計算すると金額が異なる場合が生じます。
したがって、(365-125)÷12=20で1カ月の平均所定労働日数を計算し、8×20=160で1カ月の平均所定労働時間を計算しています。
年俸制の場合
例えば、年俸4,800,000円の基本給で他の手当等がなく、1日の所定労働時間が8時間、年間の所定休日が125日の人は、
4,800,000(円)÷[8(時間)×{365(日)-125(日)}}=2,500(円/時間)で、2,500円です。
年俸制の場合、年俸を所定労働時間で除すればよいので、365-125=240で1年間の所定労働日数を計算し、8×240=1,920で1年間の所定労働時間を計算しています。
賃金支払形態が混在する場合
基本給は日給制、○○手当は月給制というように、異なる賃金支払形態が混在する場合があります。
その場合には、それぞれの賃金支払形態ごとに分けて1時間当たりの金額を計算し、それを合計したものが、通常の賃金の1時間当たりの金額となります。
算入しない賃金
通常の賃金の1時間当たりの金額を計算するときに、次の賃金は算入しないことになっています。
(除外されるので、その分少なくなるということです。)
- 家族手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
- 住宅手当
- 臨時に支払われた賃金
- 1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金
これらは名称ではなく、実質の内容で該当するかしないかが判断されますので、注意してください。
(該当するかしないかについては、行政の解釈があります。)